現在、世界中で感染を広げている新型コロナウイルス感染症のオミクロン株ですが、本日はこのオミクロン株に対して新型コロナウイルスワクチンの3回目接種がどの程度有効なのかご案内していきたいと思います。
まず新型コロナウイルス感染症への対応は大きく分けると感染予防と感染後の治療の2つに分けられます。
新型コロナウイルス感染症に対して有効な感染予防策はワクチン接種であり、治療については解熱剤などの対症療法、重症化リスクがある場合は中和抗体や経口の抗ウイルス薬の投与を行います。ただ、妊娠中の方の治療に関しては疫学的調査や実際に使用した報告が少ないなどの理由で制限が生じる可能性があります。そうなるとワクチン接種による感染予防が非常に重要になってきます。
現在の日本の新型コロナウイルス感染症はオミクロン株が中心となっています。過去の変異株に比べ、感染力や重症化、ワクチンの予防効果等に違いが出てきています。日本でのオミクロン株の発生は令和3年11月30日で、2か月半ほど経過していますが、日本より早くオミクロン株がまん延した欧米等のデータを含めて考察していきます。
オミクロン株の特徴(CDC・英国健康安全保障庁の調査結果)
感染力:デルタ株に比べ、感染力が最大3倍強い
重症化:入院リスクはデルタ株に比べ、約3分の1
後遺症:疲労感や息苦しさ、筋力低下等の症状が長く続く後遺症は軽症例でも少なくない
ワクチンの効果:
発症予防(感染予防):
ファイザー、モデルナ製ワクチンの2回目接種から20週間たった段階では、オミクロン株に対するワクチンの有効性は10%前後、約60%かそれ以上保たれたデルタ株に比べ感染予防効果は大幅に減少。3回目接種を行った2~4週間後の段階では効果は65~75%ほどに上昇し、10週間以上経った段階では50%ほどに減少。
入院予防(重症化予防):
ファイザー、モデルナ製ワクチンの2回目接種した人の入院予防効果は、当初で81%、半年経過すると57%。3回目接種を行った2週間後の段階では90%に上昇。メーカーを問わず2回目接種から25週以降で59%、3回目接種から2週以降で95%。
以上より考察すると
重症化率は低いが、感染力は強く軽症例でも後遺症は少なくないという事がわかります。
現在でも妊娠後期は重症化しやすいとされていることから、感染予防の効果を維持するためにも新型コロナウイルスワクチン接種の3回目を受けることをお勧めします。
海外ではオミクロン株の亜種「BA.2」(日本で流行しているのは「BA.1」)が中心となってきてるところもあります。ステルス・オミクロンとも呼ばれています。
今後日本でも拡大する可能性があるため、わずかですが情報提供いたします。
ステルス・オミクロン株の特徴(デンマーク・イギリスの研究機関の調査結果)
感染力:従来型のオミクロン株BA.1と比べ、感染力が2倍以上強い
重症化:従来型のオミクロン株BA.1と比べ、重症化率に大きな差はない
ワクチンの効果:
発症予防効果:比較的少数の症例によると、ワクチンの発症予防効果は2回接種後半年以上経過した時点でBA.2では13%(BA.1では9%)、3回接種後2週間の時点でBA.2では70%(BA.1では63%)。
以上より考察すると
ステルス・オミクロン株BA.2についても新型コロナウイルスワクチンの3回目接種の効果が従来型と同程度あることがわかります。
余談ですが、3回目接種の有効性がオミクロン株では早く低下する可能性があり、4回目以降の接種について検討の必要性を指摘する声が上がっています。そのことに対してWHOは2022年1月11日に「元のワクチンの組成のまま追加接種を繰り返す戦略が、適切で持続可能とは思えない」とする声明を発表しています。
その後ファイザー社、モデルナ社ともオミクロン株に対応するワクチンの臨床試験を始めたと発表がありました。
早期に新しいワクチンが開発されることを願うばかりです。
2022-02-18 08:18:00
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